いま、『野良』な仕事がスタイリッシュ(笑)

農業から化学、生物、ファッションまでいろいろな仕事をしています。

無農薬有機栽培をする人たちが超貴重な件

有機栽培の農作物と聞くと多くの人が何やら大変よいものであると思ってしまうようです。

体によい、味もよい、その他にも何だか色々よい・・・らしいという理解になるようです。

コレってどうなんでしょうね。

化成肥料を使わず、有機肥料のみによって栽培されるものは、凡そ有機栽培したということになるのですが、実際こういったものでも農薬は使われていることが多いです。

市場に流通させる規模で農産物生産をしている方々にとって農作物の管理作業は大変手間と時間がかかるものですから、一度害虫などが発生すれば、農薬を使わずに解決するのは相当難しくなるものと考えられます。

消費者側では、見た目が綺麗で、無農薬有機栽培のものがよいと言われるのですが、正直言ってそのレベルのものは、市場の取引価格の倍の価格でも正直採算が合わないと生産者側では思われています。

こういったところに生産者と消費者の感覚のズレが出てきます。

ミニトマト1kgは生産者からの一次卸価格では500円ほどだと言われます。

しかし、実際には1kgで最低1000円はないと生産農家は利益を得ることは難しくなります。

個人の家庭菜園規模で余ったミニトマトをお裾分けしたり、中規模家庭菜園規模で、道の駅に売りに出したりしている人は、あくまで趣味の延長なので、採算は考えていません。

そういったトマトは旬の時期前後くらいしか出ません。真冬などにきちんと供給を行う生産者さんは、暖房費や管理費を考慮すると1kgで2000円以上の流通価格でも厳しいくらいです。

その上に有機栽培基準の管理を求めたり、無農薬基準の管理を求めるなら、1kgで4000円くらいを覚悟しなければならないでしょう。

この時、スーパーの陳列台に並ぶミニトマトの値段は700円以上(180g/袋)になります。

こんな高いトマトを買う消費者は極めて限られてしまうでしょう。例え、安全・安心のためだとしてもです。

生産者は現在、農水省や農協の枠組みの中で守られている人が多くいますが、この枠組みが無くなったら、自力運営していけるのは10%に満たないと言われています。

今後、日本における農業生産は、消費者の意識改革がきちんと行われなかったとするとTPPの解禁とともに生産者の離農が顕著に顕れ、近い将来、農業生産の担い手がいないという状態になるのは火を見るより明らかです。

そんな状況がある中で、無農薬有機栽培による農作物を食べようとするのは、自分で作るか、特殊な枠組みに参画するか、高いお金を払うかのいずれかしか無くなっていくでしょう。

だから、私たちは『一定の規模以上で無農薬有機栽培を現実に行っている』生産者は非常に稀有で貴重なのだということを知る必要があります。